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綿を植えよう。

綿を植えよう。

ブログが繋ぐ、綿のぬくもり。

4年前、ふとしたきっかけでブログを始めた。
たしか、ネットでショッピングをしている途中に
「ブログ」という当時まだなじみの薄い言葉を見つけ
好奇心から飛び込んでみたのだった。

日記を書くのは好きだったから
毎日、たわいもない出来事を書いたり。
好きなものや好きな音楽について思いつくまま書いてみたり…。

最初は誰も見に来なかった。
自分の文章がパソコン上で見られるだけで満足だった。

そのうちに、ひとり、ふたり…
コメントを書き込んでくれる人ができた。

何人かの気の合う人たちと相互にリンクを貼るようになると、
毎日、お互いのブログを訪ねあって会話することが生活の中の楽しみとなり、
次第に生活の一部にまでなっていった。

仕事関係でもなく、学生時代の友でもなく
子どもの親同士でもなく…
「わたし」という一人の人間に興味を持って集まってくれた仲間が、私にはとてもうれしかった。
大人になってからできた、新しい友達。

そのうちの何人かとは実際にお会いする機会を得て
どれも忘れられない邂逅となった。

ある日、私に一通の封書が届いた。
ブログ仲間の年下の女性からだった。
中に入っていたのは、6粒の種。
それまで見たこともなかった綿の種だった。

園芸に全く心得のなかった私だったが
手探りで、生まれてはじめての「綿づくり」を始めた。
マンションの狭いベランダのプランターで、
種をまき、水をやり…。

ただの園芸。
そう思っていた私に綿は毎日新しい感動をくれた。
何日も覗き込んで、初めて双葉が出た日の感激。
小さな子どもを育てるように、声をかけながら育てた。
純白の花に心を洗われ、
やがて実った綿の実が、何ヶ月の後にはじけて真っ白な綿の姿になったときにはうれしくてうれしくて…。

その様子を、私はブログに書き込んだ。
写真を撮って、そのつど成長日記にして。

一年目になった綿の実から取れた種を
「いっしょに育ててくれるひと」に配ろう、と考えた。
ある日の日記に、そのことを書き込むと
沢山の友達が「私もいっしょに育ててみたい」と手を挙げてくれた。

二年目の綿は、全国の各地のブログ仲間と一緒に育てた。
皆がひとつひとつの種にそれぞれの地で水をやり
愛情を注いでくれていると思うと、心の中までじわりと温かくなった。

皆が自分のブログの中で、咲いた花や実の様子を知らせてくれた。

そしてその種からまた、更に友達を通して綿の種が広がっていった。

ブログがなかったら、なかった出会い。
そして、私の生活の中に「綿」という植物も存在しなかっただろう。

繋いでくれたのは、ひととひとの温もり。
そして、あたたかい、綿のぬくもり。

今年採れた綿の実を見ながら
改めて、今の時代に生きていることの幸せを感じている。






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